カイラス巡礼
じつはこの巡礼は正確にカイラスの周りを一周歩いていない、あまり風景が特別でない所は省略して車に乗った。おかげで二日で回れた。
大金/タルチェンから車に乗りチュク・ゴンパ近くへ、出発点のテントで準備を整え9時30分スタート。久しぶりに使うウエアラブルカメラの装着にとまどいあせってしまう。
一生に一度であろうカイラスをめぐる道を動画に撮っておき、日本に戻ったら何度も見ようと思い、ネットでいろいろ探し安く買ったカメラだ。使えなかったら何にもならない。
持ってきた上着も下着も着込んできたのに、東側に山が高く連なっていて日がさえぎられている、これ以上寒くなったらどうしよう、などと考えながら遠く日のさす場所まで急ぐがなかなか着かない、あまり高低がないのでそれほどつらくはない。
寒さで鼻水が出る、マスクの中はグシャグシャだ、マスクは一つしか持ってこなかったどうしよう。この時期顔を覆うものは必需品だった。
歩き出すとすぐに五体投地でお参りする三人組に会った。二時間くらい歩くと日のさす道にたどり着いた、おかげで思ったほどには寒くなくなった。
最初の休憩所
その室内、泊まることもできるみたいだ。
13分37秒
みんながたどり着いて、カップ麺で昼飯にしようとしたがあまり食欲がなく、持ってきたフルーツを食べた。
調子が出てきたので、心をがはやる、そしてまた失敗をする。先に行きますとテントを出ようとすると、ウリさんがお寺ですからねとかなんとか言った。今日の宿泊はゴンパのある所なんてことは知っているのに何言ってんだろう…。
歩き出すとチベタンの男が二人ゆっくり歩いている、よし抜いてやるぞとはりきる。その先にも女が二人いた。抜こうとすると道をそれた、ついて行くと先にいた女がお湯を沸かしていた、そこらのヤクの糞を集めて。
近くに寄って写真を撮ると、お前も飲めとすすめてくれた、インスタントコーヒーを取り出し飲むとお湯ではなくお茶だった。変な味。
休んでいるとみんなが追いついてきた、はりきって先を行く。五体投地を一人でやっている男がいた。写真を撮るとチラチラこっちを見る、べつに興奮して一心不乱にやっているわけではないのだ。
カイラスの西壁が見えてきた。巡礼の間カイラスはいつも右側斜め後ろに見える、常に前面にいて見守ってくれているものだとばかり思っていたが。みんなに言うと、回るんだものあたりまえじゃないと笑われた。
西壁から帯のように山が続いている、どういう構造になっているんだろう。
タルチョに飾られた橋が見えてきた、これを渡ると寺に着く、渡らず行くと、寺と川をはさんで向き合うテントの宿泊所に着く。
橋を渡り寺を目指す、すぐに着いた2時30分、ディラ・プク・ゴンパだ。しかし少し高くなっている寺へ行くには息がきれる。寺は工事中だった。まだ時間は十分あった。
橋を渡ると北壁が見えてくる。
寺から見た北壁。
みんなも次々到着していた。さあ宿泊所へ向かおうかと川を渡りテントを目指す。見た目は平坦だがいざ歩くと苦しい、あえぎつつ宿泊所へ。
いくつかテントと小屋があり、おばさんが二人ほどいろいろ作業をしている。まだ宿泊者はいない。少し休んでおばさんにお湯をもらいに行った、コーヒーを飲むために。一人かと聞くからまだみんな来ないんだと答えておいた。
カイラス北壁を仰ぎながらコーヒー飲み、カイラスに見守られながらシートを敷いて昼寝した。夢がかなった。少しテントの周りが汚いのが気になるが。
そのうち巡礼者達が到着しだした、今の季節はチベタンばかり、漢民族も外国人にもまったく会わなかった。寒くなる前のベストシーズンかもしれない。
どこからともなく馬が現れた、カイラスによく似合う。
それにしても私の仲間達が来ないのはどうしたことだろう? 日も暮れてゆく、寒くなっていく。寺の方を何度も見てみるが来る気配がまったくない。
と、そこへさっきのおばさんがスマホを持って、一人の人とか言ってやって来る。おばさんのスマホの相手はウリさんだった。
どこにいるんですか、宿泊はゴンパですよ、すぐに来てください‼︎ ゲッ‼︎
またやってしまった。どおりでだれも来ないはずだ。
宿泊は寺だと言ったでしょう。そうかあの言葉はそういう意味だったのだ。ロサンが気づいておばさんに電話してくれたみたいだ。
ゴンパの中の居間のようなところにははたくさんのチベタンがいてにぎわっている。暗くなるのに平気で出かける一団もいる。買ってきたおかしとカップ麺で夕食。昔は僧侶達が食事を作ってくれたらしい。
今は若い夫婦が雇われて働いている。ゆっくり休んでいると、夕日がさしてきた、急いで写真を撮った。天気がいいせいではっきりし過ぎてつまらない気もする。
若い夫婦には男の子と女の子がいる、二人とも素直そうでとってもかわいい。
見かけた三人家族、いい感じだ。
3分27秒
寺の布団は干してないから匂うかも、と言われみんな持ってきた寝袋に入り布団を掛けて就寝。明日もがんばるぞ。
ここで寝た。